From the Lab 実証実験の取り組み紹介

AIインカム×ホテルシステム
進化する現場オペレーション

2026.07.22 アプリ関連
AIインカム×ホテルシステム<br>進化する現場オペレーション

背景

タップ ホスピタリティラボ 沖縄(以下THL)では、宿泊施設が直面する課題をDXの力で解決することを目的に多様な実証実験を積極的に推進しています。 ホテル運営においては、ホテルシステム(PMS) やロボット、各種ソリューションを組み合わせ、スタッフ間の連携と業務効率化の実証に取り組んでいます。

現場オペレーションの最適化において欠かせないのが円滑なコミュニケーションですが、インカム*1を使った従来の音声のみのやり取りでは、記録が残らず、離れた場所のスタッフには情報が届きにくいという課題がありました。

THLでは、これらの課題を解消し、施設全体の運営を効率化する新たなコミュニケーションの形を検証しています。

 

*1 インカム(Intercommunication System)とは、イヤホンマイク、またはヘッドセットを装着して会話ができる通信機器です。

概要

本実証実験ではAIインカム『VOYT CONNECT 』を導入し検証を進めています。このツールは音声をリアルタイムで共有すると同時にテキスト化も可能であり、ネットワーク環境があれば現場に不在のスタッフとも情報を共有できる特長があります。

今回は、このAIインカムと専用アプリ『THL App』を連携させた通知運用を行い、施設全体の業務効率化における有効性を検証しました。以下、具体的な運用内容と現場で得られた内容についてご紹介します。

 

現場を止めないリアルタイム通知

THLでは、THL Appを活用してゲスト自身が予約情報の取り込みやチェックイン・チェックアウトを行える仕組みを整備しています。従来はスタッフが都度管理画面(PMS)でゲストのチェックイン・チェックアウト状況を確認する手間が課題でした。

そこで、ゲストの操作状況(アプリ内のチェックイン・チェックアウト)や客室状態をスタッフへリアルタイムに音声通知する仕組みに加えて、設定条件に基づき指定時間に情報をスタッフがもつスマートフォンへ一括通知する機能を運用に組み込むことで、現場全体が効率的に状況を把握できる体制を構築しました。

スマートフォンへの通知例
(チェックイン / チェックアウトに関する通知)

これにより、清掃スタッフはチェックアウト済みの客室情報を受け取り、効率的に作業を進められるようになりました。また、チェックインやチェックアウトが未完了の客室情報も自動で通知されるため、必要に応じてスタッフからゲストへの連絡にも対応可能です。

作業を中断せずに最新状況を把握できるこの仕組みは、業務効率化とスタッフの負担軽減を両立させています。

 

音声通知による即応性の価値

AIインカムには音声をテキスト化する機能がありますが、作業中や移動中のホテルスタッフにとって、視線を奪われない音声通知の重要性は依然として高いです。

音声通知の強みは、作業をしながらでも視線や手を取られずに情報を受け取れる点にあり、リアルタイム性と即応性が高いことです。

作業中や移動中でも通知を受け取れるため、宿泊業務において実用性が高く、メール、チャットでは気づきにくい情報も確実にスタッフに伝わります。 THLでは、こうした音声通知の有効性も現場で検証し、通知手段の最適化に取り組んでいます。

 

情報過多を防ぐ通知の最適化

通知機能は便利である反面、情報が過剰になると重要な通知が埋もれてしまう情報過多の懸念が生じます。特に客室数が多い大規模施設では、ピーク時に膨大な通知が発生するため、いかに情報を取捨選択するかが運用の鍵となります。

例えば、特定のプランで宿泊されるお客様の到着時のみの通知を配信して関係スタッフで共有する、あるいはチェックアウト情報を担当フロアの清掃スタッフに限定して配信し、空室になった客室から効率的に清掃を開始できるようにする、といった工夫が考えられます。

通知情報の整理

必要な情報を、必要なタイミングで、必要なスタッフへ確実に届けるためのルール設計を行うことが、業務効率化とスタッフ負担軽減を両立させるうえで重要であると捉えています。

 

まとめ

本検証ではAIインカムとTHL Appを連携させた運用の有効性を検証しましたが、PMSなどのシステムと連携する通知の内容変更には引き続きAPIの改修が必要な段階にあります。

THLでは、スタッフ自身が直感的に通知内容を変更できる管理画面を開発し、現場のニーズに応じた柔軟な運用方法の検証を進めています。将来的には、AIインカムを活用した音声インターフェースにより、通知の受信にとどまらず、音声操作でのPMSのステータス変更や清掃・配膳ロボットの呼び出しまで行える環境の実現を目指しております。

現場の負担を軽減しつつ、ホテルサービスの質をさらに高める新たな運用モデルの構築に向け、THLはこれからも実証実験を続けてまいります。

 


システム構成

THL App
AI インカム


関連部署

株式会社タップ ホスピタリティサービス工学研究所

 マーチャンダイズR&D部 マーチャンダイズ開発課
 ソーシャルイノベーションR&D部 ソーシャルイノベーション開発課


※2026年7月時点の情報です


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