From the Lab 実証実験の取り組み紹介
異なるロボットを動かす『交通整理』の最前線
2026.04.22 サービスロボット関連
背景
タップホスピタリティラボ沖縄(THL)では旅行者の宿泊体験向上やスタッフ業務の省人化を目的に、ホテルシステム(PMS)と連携したロボットの利活用を進めています。
宿泊施設においては幅広い業務に応じた様々なメーカーのロボットの活躍が期待されていますが、異なるメーカーのロボット同士はお互いが正しく認識できず、『衝突』や『立ち往生』が発生するケースが可能性があります。
これらの課題解決に向けて、タップ ホスピタリティラボ 沖縄(以下THL)ではロボット同士がスムーズに稼働するための『交通整理』に挑戦しました。
※本記事は、2024年11月〜2025年1月に実施された実証実験の結果に基づいて紹介しています
概要
THLは経済産業省が推進する『ロボットフレンドリーな環境構築支援事業』(以下ロボフレ事業)に採択され、ロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)が策定したリソース管理システム(ロボットの交通整理)方式を参画企業とともに導入・検証しました。
今回はTHLにて行った『ロボットの交通整理』の実証実験について紹介します。
株式会社タップ、経済産業省「ロボットフレンドリーな環境構築支援事業」に採択
ロボットを導入したのに、なぜか業務が増える?
ロボットはメーカーごとに「操作・管理する仕組み」が異なります。そのため異なるメーカーのロボット同士だとお互いの位置を正確に教え合うことができず、ロボット同士の衝突や、スタッフによる手動での移動やタスクの再設定、配膳物のこぼれ対応などが必要になります。
業務負担軽減を目的にロボットを導入することが、かえって『ロボットを助ける』という業務を作り出すことになってしまいます。 このような事態を避けるためには、ロボットの交通整理が不可欠となります。
ロボットの『交通整理』でスムーズに動ける現場へ
ロボットの交通整理を行うために交差点や狭路、エレベーターなど、ロボット同士の干渉が発生しやすいエリアを『交通整理対象エリア(以下リソース)』として設定し、あるロボットがこのリソースを通過中の場合、他のロボットの進入を自動的に制限する仕組みつくりをしました。
これにより、ロボット同士の立ち往生や衝突を防ぎ、スムーズな業務が可能となります。
THLが可能にした、宿泊施設におけるロボットの活用実験
これらの交通整備が実際の宿泊施設でも効果があるのかを確かめるために、THLの施設を使用した実証実験を行いました。実験では、エリアやフロアごとに施設管理者が異なるという実稼働の事例を想定し、RFA規格⋆1に準拠した2つの交通整理システムを導入しました。
さらに、ルームサービス、清掃、リネン搬送、ポーターといったメーカーの異なる4種のロボットと、ホテルシステム(PMS)、自動ドア、照明設備、エレベーターなどの施設システムを連携させ、宿泊施設での利用を想定した複合的な環境で検証を行いました。
*1 RFA規格:一般社団法人ロボットフレンドリー施設推進機構(RFA)が策定する、施設(ビル・工場など)にロボットを安全・効率的に導入・運用するための標準化された『インターフェース(接点)の定義』や『ガイドライン』の総称
交通整理でタスク成功率100%に!
これらの交通整備が実際の宿泊施設でも効果があるのかを確かめるために、THLの施設を使用した実証実験を行いました。実験では、エリアやフロアごとに施設管理者が異なるという実稼働の事例を想定し、RFA規格⋆1に準拠した2つの交通整理システムを導入しました。
さらに、ルームサービス、清掃、リネン搬送、ポーターといったメーカーの異なる4種のロボットと、ホテルシステム(PMS)、自動ドア、照明設備、エレベーターなどの施設システムを連携させ、宿泊施設での利用を想定した複合的な環境で検証を行いました。
次に見えてきた“待ち時間”という課題
ロボットの交通整理は干渉を防ぐ効果は絶大であるものの、リソース通過中の待機時間が発生するため、ロボットの運用効率が低下するという新たな課題も見えてきました。
この課題を解決するためには旅行者の対応を担うルームサービスロボットなどを優先的に通過させるなど、タスクの優先度に応じた制御の必要性や、人がいる環境でのロボットの動作を考慮した詳細なルール策定などが挙げられます。
加えて、施設内でのロボット運用を最適化するには、メーカーの異なる各ロボットの稼働状況をリアルタイムで一元管理し、リモート操作やタスク管理などのスタッフに必要な機能を備えたロボット管理システムの構築も重要となります。
まとめ
従来、施設のシステムや構造との相性、メーカーの制約などにより、ロボットの選択肢は限定的でした。しかし、今回の実証で有効性が示されたような『ロボットフレンドリーな環境』が整備・普及されることで、施設側は自社のニーズに最適なロボットを自由に選択できるようになります。
異なるメーカーの複数ロボットが確実かつ効率的に稼働できる環境を構築し、実証実験を重ねることは、人とロボットが共存する未来のホテル運営を探る上で不可欠なステップです。ロボットが本来の役割を果たすことで、スタッフは人にしかできない心のこもった接客やホスピタリティに専念できるようになり、結果として旅行者の宿泊体験の向上にもつながります。
ホスピタリティサービス工学研究所は、今後もシステムの高度化やロボット管理システムの検証を進め、宿泊施設がロボットを導入しやすく、スタッフが運用しやすい環境の整備を目指します。
システム構成
タップPMS
ルームサービスロボット
清掃ロボット
リネンカート搬送ロボット
搬送ロボット
セキュリティドア
EV(エレベーター)
リソース管理システム(ロボット群管理)
関連部署
株式会社タップ ホスピタリティサービス工学研究所
研究開発エンジニア課
ビジネス研究開発課
※2026年4月時点の情報です