From the Lab 実証実験の取り組み紹介

清掃ロボットが切り拓く、
ホテル清掃のDX化

2025.12.15 サービスロボット関連
清掃ロボットが切り拓く、<br>ホテル清掃のDX化

背景

宿泊施設の清掃業務は、お部屋全体の清掃やベッドメイキング、備品の補充など多岐にわたり多くの時間と労力を要します。

これにより清掃スタッフへの負担が大きくなり、業界が抱える人手不足という課題をさらに深刻化させています。

タップ ホスピタリティラボ 沖縄(以下THL)ではこうした清掃業務の効率化に焦点を当て、ホテルの清掃スタッフと協調しながら業務の省力化に貢献するロボットの実証実験を進めています。

 

概要

THLでは、ホテルの清掃スタッフの業務負担を軽減するため、実際に清掃ロボットが稼働中です。どのようなロボットを活用し、どのような未来を描いているのかをご紹介します。

 

床清掃ロボット×清掃業務効率化

床清掃ロボット_DEEBOT X2 OMNI
床清掃ロボット

 

ホテルの清掃業務で最も時間と労力を要するのは客室清掃で、特に面積が広い床の清掃は多くの時間を使います。THLではこの作業に床清掃ロボットを活用し、清掃業務の効率化を図っています。

床清掃ロボットが自動清掃している間、清掃スタッフはベッドメイキングや備品補充といった他の業務に同時に取り組めます。さらに、弊社のPMSと専用アプリがロボットと連携し客室状況に応じて最適な清掃経路を指示するシステムも構想中です。

これは単なるロボットの導入ではありません。人間にしかできない業務にスタッフが集中することで、負担を減らしながら清掃業務全体の質を高める新しい働き方が可能になります。

 

搬送ロボット×運搬業務効率化

リネンカート搬送ロボット_CLOi™ ServeBot
リネンカート搬送ロボット

リネンやアメニティの補充業務は、ホテル運営に欠かせない作業ですが、重量のあるリネンカートの運搬は清掃スタッフにとって大きな負担となっています。THLでは、この課題に対してリネンカート搬送ロボットを活用し実験を進めています。

このロボットは、清掃スタッフに代わって新しいリネンやアメニティが積まれたリネンカートを自動で運搬し、客室前や回収場所まで届けます。これによりスタッフの運搬作業の負担が軽減されます。

現状の実験結果として、まず清掃スタッフへのヒアリングにおいて体力的な負担の軽減が確認されております。これに伴い、アメニティ類や新しいリネン類の運搬サポートにおいては、10部屋あたりにかかる補充作業の時間が従来の手動運搬と比較して約30分の短縮という成果を得ております。

将来的には、エレベーターと連携することで建物内を縦横無尽に移動し、複数階にまたがる運搬も可能になる予定です。

 

データ収集と分析で”清掃の最適化”へ

実証実験の中で収集された清掃ロボットの稼働時間・清掃面積・走行距離をはじめとしたデータを分析し、さらなる効率化と清掃品質の向上を目指しています。

ロボットから得られる膨大なデータは、清掃業務における最適なロボットの選定や、より効率的な清掃スケジュールの設計を可能にします。これは、勘や経験に頼っていたこれまでの清掃業務を、データに基づいた『科学的なアプローチ』へと進化させるものです。

しかし、効率化だけを追求するわけではありません。 清掃品質を確保するため、ロボットからのデータ収集と並行して、清掃スタッフによる目視検査やフィードバックも重視しています。ロボットのデータと人間の目による確認を組み合わせることで、作業の効率化と清掃品質の向上を両立した環境を構築します。

 

清掃ロボットが叶える、業務効率化と顧客満足度向上

床清掃ロボット_PUDUCC1

客室の清潔さはゲストの満足度に直結する重要な要素です。清掃ロボットの導入は、清掃スタッフの時間的・労力的な負担を大幅に軽減するだけでなく、業務効率も向上させます。

これにより、スタッフは清掃にかけていた労力をゲストへの特別なサービスや、より質の高いおもてなしといった、人にしかできない業務に集中できます。清掃品質やサービス品質が向上することは、ゲストに快適な滞在を提供し、顧客満足度を高めることにつながります。 THLの取り組みは課題を解決するだけでなく、宿泊施設の価値そのものを高める革新的な未来を創造します。

 

まとめ

現在、清掃ロボットは清掃業務を補助する役割ですが、将来的にはロボットが主体となって定型業務を担うことが期待されています。その鍵となるのは、清掃スタッフとロボットの業務を効果的に切り分けることです。

清掃スタッフは、人間の判断や技術が必要な業務に専念し、清掃ロボットは床清掃や運搬など、定型作業を担当します。

さらに今後は、床清掃や搬送だけでなく部屋の消毒や設備点検といった、これまでは人間が行っていた多岐にわたる業務が自動化される可能性があります。このようにロボットが多彩な業務を担うことで、効率的な施設管理と、より質の高いサービス提供の実現が期待できます。

この展望を実現するため、THLではビルシステムとの連携や、複数のロボットを管理するフリートマネジメントシステムの構築に向けた研究開発も積極的に進めています。 THLが実現する清掃ロボットの活用と展望にぜひご期待ください。


システム構成

SmartPMS
床清掃ロボット
リネンカート搬送ロボット
タップPMS
Room Tag(客室サービス管理システム)
セキュリティドア
EV(エレベーター)
リソース管理システム(ロボット群管理)


関連部署

株式会社タップ ホスピタリティサービス工学研究所
 研究開発エンジニア課
 ビジネス研究開発課


※2025年12月時点の情報です


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