From the Lab 実証実験の取り組み紹介
ホテルレストランの未来を形作る、
3つの取り組み
2025.10.02
レストラン関連

背景
今日のホテルレストランでは、人手不足やフードロス、多様化するお客様のニーズなど、様々な課題があります。
こうした中、レストランの現場で新しいシステムを試行錯誤しながら導入するのは難しい場合が多いですが、タップ ホスピタリティラボ 沖縄(以下THL)では、実際のレストラン運用を通してこれらの課題解決に繋がる実証実験に取り組んでいます。
概要
ホテルレストランにおけるフードテック実証実験
THLで現在進行中のフードテック実証実験は、大きく分けて以下の3つです。
1.よりパーソナライズされたオーダー体験へ
現在は、お客様のアレルギー情報を事前にアプリ(*1 THL App)に登録することで、該当する食材を含むメニューが表示されないように制御されたモバイルオーダーシステムの運用を行っています。(ハラールやヴィーガンといった多様な食の制限にも対応可)
*1 THL Appとは、THL内で使用されるアプリで、宿泊施設(ホテル)のチェックイン/チェックアウト、滞在時サービスを利用するときに使います

今後は、アレルギー情報に加えてお客様の好みや過去の注文履歴をもとにメニューの表示順序を自動で最適化するなど、よりパーソナライズされた注文画面の実現を目指すとともに、食材のカロリーや栄養情報も表示できるようにし、健康意識への対応と購買意欲への効果についても検証していきます。
2.食材の在庫も座席状況も“見える化”へ

THLのレストラン(T-Cafe)では、食材を管理するシステムを開発し運用中です。キッチンスタッフが調理のオペレーションに入る前に、食材に貼られたQRコードを読み取ることで、自動的に在庫が減算される仕組みです。
在庫減算時に古い食材がある場合にはアラートが表示され、フードロス削減にも貢献します。
将来的には、在庫減算に連動した自動発注や、ホテルの予約情報と連携して食事利用量を予測し、食材不足を未然に防ぐシステムの開発も検討中です。これにより、棚卸しなどの業務負担の軽減も目指しています。

また、食材の管理システムだけでなく、レストランの空席状況をリアルタイムで把握し、注文予測に活用するシステムも開発・検証を進めています。
3.誰もが働けるレストランへ – THLの“支える”テクノロジー
食材管理システムの導入に加え、同レストランでは主に障がいのある方をスタッフとして雇用し、デジタル技術を活用して業務をスムーズに行えるかどうかの実証実験を進めています。

具体的には、現在入っている注文の中から自分が担当する商品のみを一覧で確認できる注文処理画面や、調理すべき料理の手順や盛り付け方法が表示される案内画面などを用意しています。

また、調理開始のタイミングで、必要な食材が入っている冷蔵庫が光って場所を知らせる仕組みも開発しています。 人がすべての情報を覚えておく必要がなくなり、レストラン業務に対応できる人の幅を広げることが狙いです。
この取り組みは、障がいのある方の雇用促進にとどまらず、外国人従業員のサポートなど、さまざまな現場での活用にもつながると考えています。
まとめ
THLではレストラン業務における単純作業をテクノロジーに任せることで、スタッフが人にしかできないサービスに集中できる環境づくりを目指しています。快適な食事空間やシェフとの会話、大切な人との特別なひとときなど、ゲストの多様な“体験”を技術で支えることがフードテックの一つの展望です。
さらに、お客様の情報を活用したパーソナライズされたレストラン運営にも取り組んでいます。現在はアレルギー情報に基づく注文画面の最適化を進めていますが、今後はホテルの顧客情報と連携し、よりきめ細かな対応を目指します。
個人情報の活用にあたってはお客様のプライバシーに最大限配慮しつつ、利便性とのバランスを見極めることを重要なテーマの一つとして検証を続けています。
THLはこれらの実証実験を通じて未来のホスピタリティのあり方を追求し続けていきます。
システム構成
THL App(モバイルアプリ)
キッチン内モニター
食材管理 / デシャップ管理システム
関連部署
株式会社タップ ホスピタリティサービス工学研究所
研究開発エンジニア課
ビジネス研究開発課
※2025年10月時点の情報です